一般社団法人大阪福祉防犯協会

令和5年度 基金寄贈 ~子ども食堂への基金寄贈~

 当協会では、協会設立目的の社会福祉活動への貢献の一環として、家庭の事情で親元を離れなければならない子どもたちが暮らす児童養護支援施設などを中心に基金寄贈を行い、これまでに延べ222団体、総額1億9154万円の基金寄贈をしてきました。

 昨今の子どもを取り巻く課題として、見えない貧困層の存在が社会的に認知され、経済的なことだけでなく、核家族、共働き、ひとり親世帯などにより満足な食事がとれない子どもや孤食を余儀なくされる子どもなどの増加が見られ、最近では多様な形態での子どもの居場所がクローズアップされてきました。

 そのような中で、子どもたちに地域のボランティアによる援助活動として、子ども食堂という子どもの居場所が府下に613カ所(令和4年6月1日現在、大阪府調べ)あり活動を行っています。

 しかし、その活動はまだ緒に就いたばかりで、行政の手が行き届いておらず携わる方々が品物を持ち寄り、お金を出し合って活動を続けている現状です。

 それぞれの子ども食堂が十分な活動を行うには、まだまだ行政をはじめ各方面の力添えが必要となっています。

 そこで、当協会は、子ども食堂の活動の一助となればとの思いから、地域のボランティアだけで地道に活動する子ども食堂に対して、1カ所当たり15万円と少額ではありますが寄贈を行い、子ども食堂に集まる子どもたちのために自由に使ってもらうこととして援助することにいたしました。

 初回として、令和5年12月に大阪市淀川区内の9カ所の子ども食堂に対して総額135万円、続いて令和6年3月に大阪市天王寺区及び同市東住吉区内の5カ所の子ども食堂に対して総額75万円を寄贈いたしました。

 これからも他の地域の子ども食堂に対して基金寄贈を順次行ってまいります。

基金寄贈1

基金寄贈2

基金寄贈3

集合写真

基金寄贈4

基金寄贈5

~子ども食堂運営者への取材~

 令和5年度の基金寄贈先14ヵ所のうち、大阪市淀川区内で運営されている「玄米食堂」と同市東住吉区内で運営されている「放課後たねまき寺子屋」の運営者の方にお話をうかがいました。


 「玄米食堂」は、大阪市淀川区内で毎週月・火・水曜日の午後4時から2時間程度、無料で中学生までの子どもに対して日替わり定食を提供しています。

 同食堂は、平日のランチタイムには周辺の会社員等向けのランチを提供しており、そのお客さんたちが「子ども食堂応援券」と称する子ども食堂用のチケットを自主購入して店内のホワイトボードに張り付けておき、その応援券で子どもたちが食事ができるという子ども食堂への応援システムになっています。

 応援券の枚数より子どもの数が多かった場合は、ランチの売上げ金でまかなっているので、運営者の女性は「本業の収益はあまり期待できません。でも、子どもたちの喜ぶ顔を見ているとやりがいを感じますし、少しでも長く続けていけたらと考えています」とおっしゃっていました。

 大人たちが買ってくれた応援券に対して、子どもたちは思い思いに御礼のメッセージを書き、大人たちもまた子どもにたちへの激励メッセージを食堂内の一角にあるボードに残していきます。直接顔を合わせないけれど、メッセージボードを通して心温まるコミュニケーションが生まれ、「玄米食堂」の自慢のスペースになっています。

基金寄贈6

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 「放課後たねまき寺子屋」は、大阪市東住吉区内で放課後の子どもの居場所として活動されています。

 運営開始から約3年が経過し、一日平均4~5人の子どもが学校帰りに利用しており、そこで宿題をしたり友だちと遊んだりと思い思いに過ごしています。

 運営者がこの居場所を運営していく上で大切にしていることは、子どもたちの「人格形成」で、そのためにさまざまな偉人伝などの本を本棚に並べて子どもたちがいつでも自由に読めるようにしています。

 また、運営者自身の考えのベースになっているのは、明治生まれの哲学者であり教育者でもあった森信三という人物の教えで、中でも「しつけの三原則」と言われている「挨拶をする」「名前を呼ばれたら返事をする」「後片付けをする」この3つを特に大切にしているそうです。

 運営者の男性は、「まずは子どもの心のコップを上に向けさせること。コップを上に向けさせることができれば、そのコップに経験値という水を注ぐことができる。子どもたちがここでの読書を通じて、過去の偉人たちが苦難をいかに乗り越えて生きたかを学び、それを経験値として、子どもたち自身が今後の人生の中で直面する苦難を克服するための心の支えにしてもらえたらと思っています」とおしゃっていました。

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